ふしぎデザインブログ

デザイン事務所「ふしぎデザイン」の仕事や考え、メイキングなどを掲載するブログです。

秋の鯖江に、デザイナーと作り手を訪ねて

つい昨日、福井県鯖江に住む友人の森くんのもとを訪ねてきた。

仕事で金沢に行く用事があり、そのついでにということで立ち寄らせてもらったのだ。

 

f:id:keita_ak:20171118230650j:plain

北陸新幹線に初めて乗りました

 

大学時代の同級生である森くんは現在フリーランスプロダクトデザイナーをしており、職人や物作りに関わる人が多く暮らす鯖江を拠点に活動している。彼のセンスは学生の時からずば抜けており、ものづくりに対する真摯で率直な考え方は尊敬すべきものだ。部屋はだいたい散らかっているけど。

 

TOSHIRO MORI 

 

さて、国内の眼鏡の生産量95%以上を占める眼鏡の町として有名な鯖江だが、実は「越前漆器」という漆器も基幹産業の一つして存在する。市内の河和田地区を中心とした産地全体で分業体制が確立しており、木地づくり、塗り、蒔絵や沈金などの工房が点在しているという。(詳しくは当地にあるうるしの里会館のwebをチェック!)

越前漆器協同組合 | うるしの里会館 

 

今回、そのような木地工房のひとつであり、自社製品も手がけられている「ろくろ舎」さんを、森くんの案内で尋ねる事ができた。

 

rokurosha.jp

 

ろくろ舎さんは通りから一本入った道沿いにあり、木工ろくろを使って木地を挽く工房の隣に、ご自身でセレクトしたものを扱うショップが併設されている。工房の棚には粗挽きした漆器の原型が乾燥のために積まれており、部屋中にある木材が光を吸収して、あたりはほの明るく照らし出されている。

 

f:id:keita_ak:20171118230824j:plain

 

木工ろくろを使って木地をつくるところを拝見したのだが、これは本当にすごい仕事だ。

鉄の丸棒から自分で鍛え上げる(!)という工具を使って、木の椀を少しずつ加工していく。ろくろを回し、工具を回転する木地にあてると少しずつなめらかに削りとられる。削るたびに型紙を使って形を合わせ、理想の形に近づける。木地の表が仕上がったら次に裏を削る。しかもそれを何回も繰り返す!

 

f:id:keita_ak:20171118231137j:plain

自分たちの手で丸棒から刃物を鍛え、それを使って製品を仕上げる。ものづくりの基本を見る思い

 

プロダクトデザインという自分の仕事の中では、模型をつくることはあっても製品をつくることはない。デザイナーは他者と協力して成果を生み出す仕事であり、製品開発プロセスという大河のほんの一部にしか関われないことがしょっちゅうだ。だから、自分たちの手でプロダクトを考え、生み出す酒井さんたちの仕事ぶりには本当に圧倒されてしまった。 

 

前述の通り、ろくろ舎さんでは伝統的な木地師の仕事に加えて、自社でデザインした製品も販売している。それがまた、たまらなく魅力的なのだ。

Webサイトでも販売している「TIMBER POT」は、杉の間伐材を使って作られたポット。

塗装を施していないので、屋外で使ううちにひび割れ、痛み、朽ちていくが、それが一品一様の景色を生むというもの。真新しいものも美しいが、雨に濡れて変色したポットに植物が植えられていると、まるで流木に植物が自生しているように見える。工業製品というより、たまたまポットのかたちをしている自然物のようだ。家の植物を植え替えたくて、僕もひとつ購入させていただきました。

 

f:id:keita_ak:20171118231328j:plain

 

ちなみに、森くんも一点もののポット(と、花器の中間のようなプロダクト)を購入していた。こちらも素敵だった…!

 

 

酒井さんと森くんの3人で、ろくろ舎さんのショップに置いてあるものを見ながら色々な話をすることができた。「良いもの」はどんなものかということ、それを作るにはとても時間と手間がかかること。ある素材に取り組みスタディを重ねる中で、ある時その魅力が引き出せる様になること。良いものの魅力を言葉にして説明するのはとても難しく、その言葉は不完全だということ。

 

f:id:keita_ak:20171118231503j:plain

ろくろ舎さんのショップでは、木製品以外にもセレクトされた品を扱っている

 

ものの美的な魅力というのは複雑なもので、「貴金属を使っているから高価である」というような説明しやすい魅力もあれば、盆栽や茶道具の微細な意匠を愛でるような、説明しづらい魅力もある。また、有名アイドルのサイン入りCDのような、ものに付加された情報が美的な魅力につながる場合もあるだろう。

工業デザインの仕事では、往々にして「言葉で説明できる美的価値」を生み出すことを求められる。新しいものは見ただけではその価値を理解できないこともあるが、言葉で説明できるとその価値を伝えることができるためだ。

 

ただ、言葉で説明できる価値を作ることばかりに慣れてしまうと、作っているものが「言葉を形にしただけの、スカスカのもの」になってしまう。3人で言葉を交わす中で、自分の中にあるその危うさを再認識することができた。

「良いもの」は、作り手が粘って探って未踏の地にたどり着くことで生まれるものであり、工業デザイナーの武器は言葉よりもものであるべきだ。

 

 それを肝に命じて、僕も自分の仕事に戻ろう。

大変な時代を遊ぶ

もう2ヶ月ほど前になるが、大阪で友人のイラストレーター・漫画家のイシヤマアズサさんとお話する機会があり、お互いの仕事などを話す中で、ひとつ面白いお話を聞いた。

 

イシヤマさんの最新作。生活の喜びとかなしみが詰まっていてすばらしい。みんなで読もう

 

 

 穏やかで豊かな生活

漫画や小説のテーマとして、日常生活と食事にフォーカスを当てた作品が最近非常に広がっているという。

そのような作品に共通しているのは、誰かが生活し、その中での食事の風景をドラマに仕立て豊かな日常生活を描くということ。例として「きのう何食べた?」とか「花のズボラ飯」、「甘々と稲妻」などが挙げられるという。いわゆる日常系漫画と料理漫画がくっついたものだということもできるかも?
イシヤマさん自身も料理をする漫画(「真夜中ごはん」など)を描かれていることもあって自然と動向には詳しくなるようだったが、最近は競合が氾濫してきており、差別化をするのが大変だと話していた。

 

f:id:keita_ak:20171103152308j:plain

大阪に住んでいたとき、友だちを招いたときの食卓(イメージ画像です)


ふむふむと話を聞くうちに、この事情はライフスタイルショップの隆盛に似ているなあと思いあたった。
衣食住すべてを横断的に扱い、生活のスタイルそのものを提案する、という業態は、2012年か13年くらいからよく見るな~っと思っていたら、雨後の筍のように増えてすっかり当たり前になってしまった。
最近では、バルミューダパナソニックソニーなどの家電業界でも「生活」―もっと言うなら、「穏やかで豊かな生活のイメージ」を魅力的なものとして提案し、それは一定の評価を得ているようだ。

漫画のジャンルと店舗の業態という違いはあるが、なんとなく、これらは同じような現象に見える。多くの消費者、生活者が、「穏やかで豊かな生活」を欲しがっているのではないだろうか? 

 

www.balmuda.com

 

 

欲しいもの=手に入りにくいもの?

話は変わるが、メーカーで働いているとき、過去のカタログや企業博物館で自社製品の歴史を見る機会があった。
ひとつひとつの製品を個別にデザインしているとわからないが、まとめて振り返ると、製品のデザインは「時代ごとの『欲しいもの』のイメージ」を形にした結果として生まれてきたのだ、ということを感じ取ることができる。


例えば70年代のカラフルな製品からは明るい生活と欧米への憧れが、80年代の「マイコン」製品からはデジタル技術と好景気への期待がにじみ出ているようだ。
そして、時代ごとの「欲しいもの」は、「その時代に手に入れにくいもの」のようなのだった。例えば、みんなが小さい家に住んでいるときには広い家を欲しがり、安い車に乗っているときには高級車を欲しがり、大量生産品に囲まれているときには手づくりの工芸品を欲しがるというように。

これは裏付けのない僕の思いつきなのだけれど、もし「たくさんの人が欲しがるものは、その時代に手に入れにくいもの」という仮説を立てるなら、2010年代後半に手に入れにくいもの、それゆえにみんなが欲しがるものは、まさに「穏やかで豊かな生活」なのではないだろうか?

もしそうなら、これはなかなか大変な状況だ。

 

 

欲しているものは

今年の6月に発売されたtofubeatsのアルバムFANTASY CLUBに収録された楽曲「WHAT YOU GOT」を聴いて、ああ、この時代に困難さを感じているのは自分だけではないのだと改めて感じ、なんだかほっとしてしまった。

 

www.youtube.com

 

この歌に登場する「君」は、なんとなく生きづらいこの時代に生きる若者の気分を代弁しているようだ。
この歌の向かう方向は希望だけれど、位置する場所は神経質に苛ついた生活の中だ。
歌詞を初めて通して聴いたとき、あまりに時代の気分をよく捉えていて、しっくり来たと同時にやるせない気持ちになった。
だって、電話越しの「君」は、ときに何かを欲しがるだけの元気すらも持てないくらい消耗してしまっているようだったから。

 

 

何が食べたいとか
そのくらいも決められないなら
欲してるもの 手に入れられてるかって
もうそんなの気にしないで
もうそんなの気にしない

 

 tofubeats「WHAT YOU GOT」より

 


大変な時代を遊ぼう

自分を省みても、フリーランスになったばかりで生活が不安定なこともあってなんとなく不安をひきずってしまうことがあるし、仲の良い友人たちをみても同じように感じることがある。
明日が今日よりも良くなる保証はないし、今日よりも悪くなってしまうかもという予感すら、ないとは言えないだろう。そういった不安の中で、「穏やかで豊かな生活」を欲しがるのはとても自然で良いことに思える。

ただ、同時になんとなく感じるのは、「穏やかで豊かな生活」は、「神経質に苛ついた生活からの逃避」以上のものになりづらいんじゃないかということだ。SNS上では素敵な暮らしのイメージが飛び交っているけれど、僕は写真のフレームの外にちらつく、どうしようもないやるせなさの影を無視することができない。
そりゃそうだ、元々暮らしというのはそういうものだと言うこともできるかもしれないけれど、不安を覆い隠すように見える美しい暮らしのイメージが溢れすぎて、ちょっと食傷ぎみなのです。


そこで、そこから進むためには何が必要なのかなと考えた。

それは、自分たちで新しい時代を作ることなんじゃないだろうか?
単純すぎる解決策だし、そもそもできるのかどうかもわからないけれど、挑戦してみる価値は十分だ。

新しいものを作るには体力も、お金も、センスも要る。
だから、こんな不安定な時代にそんなリスキーな挑戦に身を投じるのはどう考えても合理的じゃない。普通に考えたらやめた方がいい。でも、だからこそ、知恵をはたらかせて良いアイデアをひねりだすのはとっても楽しいんじゃないか?

 

この大変な時代は、面白い遊び場だ。

そう言ってしまうのは少しナイーブに過ぎるかもしれないけれど、
挑戦すればきっとうまくいくよ!

「かみの工作所」の福永紙工さんにお邪魔しました

東京の立川にある紙の印刷・加工企業、福永紙工株式会社を訪問してきました。

 

f:id:keita_ak:20171026131439j:plain

工場の隣に建つショールーム。オリジナル製品をはじめカラフルな紙製品が並ぶ

 

福永紙工と「かみの工作所」

福永紙工はパッケージ制作や複雑な印刷加工に強いとのことで、もともとの事業の中心は各企業から受託する印刷と加工だそう。工場にお邪魔したときは、ファインペーパーや箔押しを使ったパッケージや企業の名刺などを作っているところでした。

今回ご対応頂いた営業部の渡邊さんと、大学の先輩でもある工務室の宮田さんによると、差別化ポイントは「クオリティで攻めること」で、他の会社では難しいような高度な加工も手がけているとのこと。特色印刷、折り、型やレーザーによる切り抜きなどを組み合わせて、リッチな印刷物や紙箱を作り上げているようです。

 

そしてもう一つの特色が、印刷加工企業としては珍しい、自社製品の開発と販売を行っていること。デザインに興味がある方なら、「かみの工作所」や「テラダモケイ」というブランド名を聞いたことがあるかも?

 

www.kaminokousakujo.jp

 

「かみの工作所」は、デザイナーとコラボレーションしてできる、紙の道具の可能性をさぐるプロジェクト。スタートしてから10年程度とのことでしたが、ショールームを埋め尽くすほどのラインナップを持っており、事業としても受託印刷に対して約3割の大きさにまで成長しているのだとか。すごい。

 

f:id:keita_ak:20171024175714j:plain

印刷、型抜き、箔押し、エンボス、貼り加工によってバリエーション豊かな製品が生まれる

 

f:id:keita_ak:20171024175931j:plain

大ヒット製品、トラフ建築設計事務所による「空気の器」は、きれいな形に立ち上げるには、フチの最後の一本まで丁寧に広げるのがコツだとか

 

f:id:keita_ak:20171024180037j:plain

雑貨店などでよく見る「テラダモケイ」は、100点のシリーズ化を目指し現在78点まで到達とのこと

 

一概にオリジナル製品を作るといっても、ここまでラインナップを広げ、センスよく展開していくのは相当難しいはず。それを実現しているのは、渡邊さんがおっしゃっていた「アパレル出身の社長がデザイン好きだから」ということだけでなく、会社全体にクオリティに対するこだわりがあるのかな、と勝手に想像してしまいました。

 

それから、僕が大学1年生のときに研究室で副手をされていた宮田さんと久しぶりに再会できたのも嬉しかった。

宮田さんは外部のデザイナーと工場の間を取り持つ仕事をしており、「最初のアイデアがそのまま量産可能なものはまずない」というデザイナーのアイデアをいかに実現し、量産対応するかを考えることが多いとのこと。

メーカーにいたときもそうでしたが、違った意見を持った人たちの間を取り持ち調整する役割は想像するだに大変。でも、宮田さんは相変わらず、まるで全然大変じゃないかのように仕事の話をしているのでした。なんというか、「先輩」を感じます。。

 

 

工場見学タイム

今回、ショールームだけでなく、工場の現場も見せて頂きました。

印刷から加工まで、ほぼすべての工程を自社で完結できるそう。どこの工場もそうですが、カッコいい機械が目白押し。とにかく写真を見てください!

 

f:id:keita_ak:20171024181902j:plain

4色のオフセット印刷機。CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、黒)で刷るときもあれば、特色を4色入れることもある

 

f:id:keita_ak:20171024182009j:plain

これがいわゆる「特色」。インキメーカーのインクをレシピ通り調合し、指定の色を特別に作る。刷る紙の色によって色味も変わるので、最後は職人さんの目で調整を行うそうです

 

f:id:keita_ak:20171024182235j:plain

紙箱を作る巨大な機械。片方の端に紙をセットすると、指定した条件通りに折られ、糊付けされて組み立て前の状態にまで自動で加工される。ちなみに右端の方が宮田さん

 

折られてますね〜 機械を動かしだすまでの、設定の作業にとても時間がかかるらしい

 

f:id:keita_ak:20171024182103j:plain

ホットメルトで紙を糊付けし、箱に組み立てる機械

  

「テラダモケイ」を製作中のレーザー加工機。こ、細かい

 

f:id:keita_ak:20171026132115j:plain

箔押し機。金銀などの箔やカラー箔、空押し(エンボス)の加工が可能

 

f:id:keita_ak:20171024221819j:plain

大きな断裁機。荒取り用と仕上げ用の2台を使い分けているそうです

 

f:id:keita_ak:20171024221901j:plain工場のフロア。パレットの上に紙の塊が積まれている

 

 

…とこのように、工場をすみずみまで見せて頂きました。

飛び込みでお訪ねしたのに、とても丁寧にご対応して頂き嬉しかったです。さらに、図々しくも工作用のダンボール紙まで頂いてしまいました。(何か作ったらお見せします!)

こんな意欲的なところとお仕事ができるように、腕を磨いていこう…!

記事内の写真は許可を得て撮影しています) 

展覧会「COMPOSITION」に参加しました

2017年の2017/10/07(土)から2017/10/15(日)に開催された、大阪のプロダクトデザイナー江口海里さんディレクションによる展覧会「COMPOSITION」に参加しました。

この展覧会は、大阪在住の方を中心に10名を超えるデザイナーが出展するグループ展で、展示のお題は「JOINT」。デザイナーが考えるDIYのためのジョイントパーツはどのようなものになるだろう?という問いかけから始まった企画です。

 

f:id:keita_ak:20171019232634j:plain

https://www.facebook.com/osakacomposition/

 

会場と展示物のこと

会場は大阪なんばの「DIY FACTORY OSAKA」。DIYのスキル激高のスタッフの皆さんが揃い、各種工具やそれを使いこなすための講習も受けられる、尖ったショップです。後述するトークショーでもお相手頂いた小寺さんはじめ、皆さん楽しそうに働かれていたのが印象的でした。

 

www.diyfactory.jp

 

また、展覧会を行うにあたって、3DプリンタメーカーのFormlabs社に材料面のご協力を頂きました。

今回展示したプロトタイプはほぼ全てFormlabs社の「Form2」によって出力されています。時間のない中、ハイクオリティなプロトタイプを展示できたのはForm2の力によるところが大きいです。

 

formlabs.com

 

DIY FACTORY OSAKA、Formlabs両社には個人的にも大変お世話になりました。改めて感謝いたします。

 

 

自分の作品「HOUSE TENT KIT」について

さて、僕はこの展示に「HOUSE TENT KIT」というプロトタイプを出展しました。

 

f:id:keita_ak:20171019233109j:plain

 

f:id:keita_ak:20171019235815p:plain

 

「家の中にかんたんにテントを建てる」ためのプロトタイプで、3Dプリントによって出力したジョイントパーツに丸棒を差し込み、そこにカーテンを張ることで、家の中にあるものを用いてちょっとした非日常空間を出現させるというものです。

子どものころ、タオルケットを椅子の間に渡してテントごっこをするのが大好きだったことを覚えています。その楽しみを、大人になった今実現するならどんなものになるか?ということが自分に対してのテーマです。

 

f:id:keita_ak:20171019233443j:plain

以前に書いたスケッチ 今回のプロトタイプのご先祖にあたるもの

 

組み立ては上記の通りパーツに棒を入れるだけのシンプルなものですが、みんなで協力して組み立てるのはとても楽しいはず!と考え、作ったもので遊ぶだけでなく、組み立てるプロセスも楽しんでもらうことを狙いました。

ただ、このプロトタイプはまだまだ改善の余地があります。時間を見つけてリメイクし、もっと楽しくしてDIY FACTORYさんに再度見て頂きたいな…と企んでいます。

 

 

デザイナーの好きなものとみんなの好きなものが違う問題

COMPOSITIONの企画として、デザイナーが自分の作品を提供しお客さんと一緒に組み立てるワークショップと、参加デザイナー陣とDIY FACTORYの小寺さんが質問を投げ交わす形でのトークショーが行われました。

 

f:id:keita_ak:20171019233817j:plain

 

f:id:keita_ak:20171019233802j:plain

イベント主催の江口さん(左)と、DIY FACTORYの小寺さん(右) 加えてデザイナーが4人出演

 

トークショーは盛況でしたが、ワークショップとトークショーを行う中で感じたことがありました。それが、段落のタイトルにもした「デザイナーの好きなものとみんなの好きなものが違う問題」です。

前々から感じていたことだったのですが、今回の展示でも「デザイナーの好むものと、一般層の好むものが離れてしまっているな」と感じさせられました。

誤解を招く言い方かもしれませんが、デザインに興味のない層からすれば、シンプルで洗練されたいわゆるハイなデザインが「かっこいい・良い」というイメージに直結することは、残念ながらない。むしろ、穿った見方をすれば「お高くとまっていてよく分からない」というイメージに結びつきすらする。

DIYや雑貨的感覚は、なんだかんだ人口に膾炙しています。果たして、「デザイナーが面白いと思うもの」に、それができているのか?

 

僕もデザイナーのはしくれ、もちろんミラノサローネで発表されるようなプロダクトや、名だたるデザイナーの仕事は大好きですし、もちろん自虐的になる必要はありませんが、少なくとも、今自分たちが良いと思っているものを一度疑ってみる必要はあると思います。

それを意識したのは、参加デザイナーがプライベートワークのアクセサリー作りをDIY FACTORYさんの空きスペースで始めたとき、誰かが「こっちのほうが(僕らがやっているプロダクトの)ワークショップより面白そうだよね」とふと言ったとき。

そうだよな〜っと思ったあとに、それがけっこうヤバいことだと気づいたのです。

でも、それを意識することができた。その気付きから、何か新しいものを生み出すことができればしめたものだと思います。

 

 

ともあれ、成果も課題もあった、学び多い展覧会でした。

ここに参加できてよかった。

江口さんはじめ、参加者の皆さま、トークやレセプションでお話した皆さま、そして来場者の皆さま、どうもありがとうございました!

 

(この次はモアベターよ)

 

1→10drive試作室のお手伝いをしています

京都発祥、オフィスは東京天王洲にある1→10drive,inc.のお手伝いをはじめました。

 

f:id:keita_ak:20171013221424j:plain

 

1→10drive,inc.は、デジタル技術のプロ集団1→10ホールディングスのグループ会社で、「ブランド・プロトタイピング」というコンセプトを掲げ、モノやサービスにおけるプロトタイピングから商品開発までを手がける組織、のようです。

「プロトタイプ」というのはふしぎデザインのやりたいことの一つにど真ん中なので、一緒にお仕事できてとても嬉しい!

進めていることについてブログに書いてもいいですか?とお尋ねしたところ、いいですよと快諾いただいたので書いちゃっております。

 

f:id:keita_ak:20171013220556j:plain

ポストイットを使ったブレストとか久しぶりにしました

 

お話をお伺いすると、製品開発やブランディングだけでなくプロモーションに関わる仕事も多いようなのですが、興味深いのはその仕事のスタイル。さまざまな企業から仕事を受ける際に、自組織で開発した「プロトタイプ」を組み込んだ提案を得意としているとのこと。

そして、その種まきをするためのプロジェクトが、今回協力させて頂く「1→10drive試作室」というものです。それはどんなものなのか?

例えば、こちらの「snipAR」というARを使った体験型シューティングゲームは、最初は1→10drive試作室のプロトタイプとして生まれたものですが、その後名古屋テレビ放送とコラボレーションする形で、クライアントワークとして再デビューしています。

 

prototyping-project.com

これが、

 

works.1-10.com

こうなる

 

クライアントワーク版ではプロモーションとして映えるための工夫がなされていますが、その中心にあるのはあくまで自社の技術をベースにしたプロトタイプ。自分たちのスキルが強いとこういう仕事ができるのだな…と勉強になります。

 

さて、今回1→10drive試作室のプロトタイプ制作のテーマとして、「家電、家具、文具を拡張する」というお題が出ています。これに対して、社内のデザイナー金子さんを始めとしたチームに加わり制作にあたっています。

イデアを出して、絞り込んで、広げて、モックを作り、壊してまた作る…という、ものづくりのきわめて王道的なフローにのっとって作業を進めていますが、「なにを作る?」というところから考えるのは自分にとってとても新鮮。さらに、考えたものを実現するためのスキルがめちゃくちゃ高い方々と一緒に仕事ができるのが面白いです。実際、先日の打合せで提案したアイデアについて、エンジニアの長谷川さんから「技術的に不可能そうなものはないですね」と力強いコメントを頂きテンション上がりました!

せっかくなので、描いたスケッチも(掲載許可を頂き)チラ見せしますね。

 

f:id:keita_ak:20171013221627j:plain

 

f:id:keita_ak:20171013221433j:plain

f:id:keita_ak:20171013221552j:plain

f:id:keita_ak:20171013221450j:plain

今は「何を作るか」のアイデアがまとまった段階。

これから、「どんなものを作るか」「どんなふうに作るか」を考える段階に移ります。ある意味、ここからがデザイナーとエンジニアの腕の見せ所!自分の技術を役立てられるよう、はりきっていきますよ〜〜〜


愛知デザインツアー② 「暮らすひと暮らすところ」を訪ねて犬山に

愛知デザインツアー後半は、最近お知り合いになった戸田祐希利さんの事務所「暮らすひと暮らすところ」について。

 

www.kurasu-kurasu.com

 

戸田さんの事務所は名古屋市内から名鉄で30分ほど行った犬山という町にある。

犬山は織田家によって建てられた「犬山城」の城下町で、当時の面影を残すこざっぱりとした町並みが印象的。有松よりも、もう少し観光地のような雰囲気があるように感じた。

 

f:id:keita_ak:20171013163839j:plain

 

f:id:keita_ak:20171013162801j:plain

 

城下町の通りを下ったところにある商店街の一角に、「暮らすひと暮らすところ」の事務所がある。

古いビルの1Fに素敵なレストラン、2Fにギャラリー(訪れた日は休みでしたが)、3Fに事務所という区分けになっており、その空間の魅力にすっかりやられてしまった。とにかく写真を見てください!

 

f:id:keita_ak:20171013164246j:plain

1F入り口

 

f:id:keita_ak:20171013164304j:plain

階段は3Fまで吹き抜けになっている

 

f:id:keita_ak:20171013163024j:plain

 

この建物はもともと町の家具店が入っており、1-2Fをレストランのオーナーが改装し、3Fに戸田さんが後から入ったのだという。

作業スペースに加えて、仕事で作ったものを見られるショールーム、撮影ができるスタジオ空間もあり、なんでもできそうな空間。すごい…!

 

f:id:keita_ak:20171013162911j:plain

ショールームスペースの奥に戸田さんの机がある

 

f:id:keita_ak:20171013162953j:plain

 

事務所にお邪魔し、戸田さんのお仕事についてお話をお伺いすることもできた。

上の写真に写っているのは、琵琶湖の固有種「イケチョウガイ」の殻を使ったボタン。イケチョウガイはアコヤ貝のように真珠を取るために養殖される貝なのだが、ものすごく希少で手に入りにくい。その殻はもともとボタンを作るのに使われていたが、生産量はとても少ない。そこで、ボタンを作るために切り抜かれた余白の部分に穴を開け、ランダムな形状のボタンを新たに作ったのだという。

ボタンはジュエリーのように一つ一つ、金の針と一緒に包装されている。「ボタン」という形を取ったプロダクトではあるが、その背後にある物語まで含めて丁寧に綴られた仕事なのだと感じた。

 

 

初めてお会いしたときにもお伺いしたのだが、戸田さんご自身は「自分をデザイナーだと思って働いているのではない」という。

自分が何かものを作る、企画する、という考え方よりも、工場や産地の作り手と一緒になってその思いを手助けする、調整するという考え方で仕事をしているとお話ししていた。

魅力的なものをたくさん生み出している実績がありながら、「これは自分の作品です!」というのではなく、あくまで生産者に寄り添いながら働く、手伝うという姿勢を感じた。控えめでありつつ、確かな仕事を積み重ねているのはとても格好いい…!

僕はわりと出たがり、というか自分本位で考えてしまうことがあるので、自分の姿勢を考えてみるきっかけを頂いたような気がします。

 

事務所でお話をお伺いした後、犬山城にもご案内頂いた。

天守閣は当時の木組みが残っており、プロポーションもなんだか可愛らしい。さすが城!というような太い梁と柱を見ながら階段を上がっていくと、木曽川を望むてっぺんの部屋まで登ることができる。

 

f:id:keita_ak:20171013163111j:plain

 

f:id:keita_ak:20171013171532j:plain

 

この日は曇りだったが、晴れの日の木曽川は太陽の光を受けてとても美しいという。

犬山は温泉もよいらしい。城下町も少しだけしか見られていないので、次回来たときには温泉につかってゆっくりするのも良いなあ。。

 

戸田さん、色々とお話いただきありがとうございました!

 

f:id:keita_ak:20171013163128j:plain


愛知デザインツアー① ARIMATSU PORTAL PROJECTと有松秋祭り

先日、京都工繊大に勤務するデザインリサーチャーの浅野翔くんに誘われて、彼らの拠点から秋祭りを見るイベントに参加してきた。

場所は愛知県の有松。名古屋から名鉄で30分ほど南下したところにある、古くからの街並みが残る街道沿いの町だ。

 

f:id:keita_ak:20171007195447j:plain

 

浅野くんは以前から有松を拠点に「ARIMATSU PORTAL PROJECT」という地域デザインを自主的に試みていて、それが気になっていたので今回お邪魔させてもらったのだった。
経緯を聞いてみると、もともと名古屋の建築事務所で働いている松田考平さんという方が発起人となり、有松駅近くにある「山田薬局」という建物を借り、「有松という町の入り口(ポータル)になるような場所を提供する」という目的で運営しているとのこと。
入り口といっても観光案内所ではなく、例えば外部のクリエイターが有松に興味を持ったときのガイド役になったり、染色工場(「有松絞り」という絞り染が有名)の工場見学を手配できたり、オリジナルの土産物を販売したりといった、より地域のものづくりに入り込むようなもののようだ。

 

f:id:keita_ak:20171007195353j:plain

arimatsuportalproject.com

 

イベントは有松の秋祭りを見ながらの食事会だったのだが、建築やプロダクト、webのデザイナーさん、また名古屋市に勤務されている方や有松の街に住む方に聞き取りをされている弁護士さんまで、いろいろな背景をもつ人が集まっていた。
同年代やフリーランスの方が多かったのもありお話もとても面白かったし、持ち寄り形式の会は気楽でよかった。(お刺身を持っていったら醤油がなく…失礼しました)

何より、町内の方が山田薬局の前を通りがかるときに「よう!今日はなにやってんの?」みたいな感じで声をかけていくのがとても良かった。地元の方にきちんと認知されているというか、「近所でなんか新しいことをやってる奴ら」みたいな捉えられ方をされているようで、見ているこちらもなんだか嬉しくなる感じなのだ。

 

f:id:keita_ak:20171007195723j:plain

 

有松の秋祭りは街並みが保存されている地区を3つの町内会の山車が巡るもので、からくり人形が搭載され、提灯がたくさんぶら下げられた山車が曳き回される様子はとてもパワフル!

夕闇があたりを包むと、蝋燭を光源にした提灯がちらちらと瞬きはじめる。山車を迎えるように町の人々のざわめきが広がり、山車を引く若衆の掛け声と溶け合って祭り特有の高揚感が一帯に漂う。
有松の一年の中でこの時期が一番綺麗なんだよねと語る浅野くんは嬉しそうで、こちらも良い機会にお邪魔できたな〜と嬉しくなった。

 

f:id:keita_ak:20171007195922j:plain

 

soundcloud.com

 

 

また来ます!といってその場を後にしたとき、本当にまた訪れ、みなさんと話をしたいなと思った。

 

また来ます!