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工業デザインの練習帳

1988年生まれの工業デザイナー秋山慶太のブログです。

もので風景を描く


プロダクトデザインをやっていていいなと感じるのは、自分がデザインしたものが誰かのところに届き、その人の生活を支えることができるというところだ。

言い換えるならば、ものを通して知らず知らずのうちに誰かとコミュニケーションできるということ。
そういうとちょっと言いすぎかもしれないが、より使いやすいようにあれこれ形をいじったり、自分が思い描く素敵な暮らしをフォルムやカラーに反映させようと試みることは、自分の考えを相手に伝えることでもあるのだと思う。それだけでなく、誰かが作ったものを使って、使いやすいとか、きれいだなと感じること、そのサイクルはひとつのコミュニケーションだと言えないだろうか?

自分が優れたデザインを提供することができれば、いろんな家庭の風景の一員に、自分の考えたかたちを参加させることができる。また、もっと極論を言うなら、風景の構成要素である道具を描き出すことで、その向こうにある暮らしや人の姿をも、少しずつ浮き彫りにするようにデザインすることができるのだ。

この「もので風景を描き出す」という表現の方法は、なかなか自分に合っていると思う。
僕はもともとあまり直情的なタイプではないし、絵や歌など、自分の気持ちをストレートに伝える表現に憧れはあっても、あまり得意ではない。
だから僕にとっては、この方法の回りくどさが、逆に魅力的に映る。お互い相手のことを知らないけれど、一方ではユーザーのことを思ってものを作り、もう一方では日用の糧としてそれを使う。時には、これはいいなあとか、なんやけったいやなとか思われることもあるだろう。

ものを作って売ることで、全く知らない誰かと遠い交信を交わすことができるかもしれない。そんなことを想像しながらデザインを考えていくのはなかなか楽しいことだ。(いつも考えてるわけではないです)
こんなに面白いことを仕事にできるなんて、自分はなかなかついてるなと思う。