工業デザインの練習帳

1988年生まれの工業デザイナー秋山慶太のブログです。

直接もの作り


手でものを作るのは難しい。 
久々に木を扱ってみてそのことをはっきりと思い出した。普段会社で絵とCADを使ってものをデザインしていると、いかにもサクサクとものが作れるような錯覚を起こすのだが、リアルな世界はそんなに甘くない。

今作っている形は比較的単純だけど、それでもこれだけのステップを踏まないと作ることができない。






上でこの形は単純だと書いたが、だからこそごまかしがきかなく、実際にビシッと見えるだけきれいに作るのはかなり難しい。例えば、面と面のぶつかっている部分の稜線が少しよれっとするだけでもかなりだめな感じになるし、最終的に上面に現れる正方形の面が長方形になったり、台形になったりしてもまったくしまらない。うーん。




この木材(ハンズで買ったサクラ材)もなかなかくせ者なのだ。木材の面出しにはかんなを使っているのだけど、側面と木口(年輪が見える面)ではまるで加工性が違う。かんなは木の繊維を鋭い刃でそぎ切る道具なので、木の側面に対してはすいすい働く。よく研いだあとなら、ちょっと嬉しくなっちゃうぐらい滑らかな面を出すこともできる。
しかし木口にかんなを当てようとすると、木の繊維をはがすのではなく一本ずつ断ち切ることになるので、同じぐらい研いだ刃でもまるで歯が立たない。なので、木口面はかんなではなくペーパーで仕上げることになる。

また、最終的に作ろうとしている四角錐の頭を切り取ったようなかたちは、何箇所かに鋭いエッジがあるので、加工の最中にぽろっと角が欠けてしまわないように気をつけないといけない。今使っているサクラの木は目が詰まっていて欠けにくいのだけれど、その前にちょっと試してみたタモ材は、細かい作業をするとすぐにポロポロと欠けてしまった。ひとくちに広葉樹と言っても、樹種によってその物性は大きく違うし、柾目/板目やそれぞれの木によってもまた違う。


こういう基本的なことを、会社のデスクに座っているとすぐ忘れてしまう。
なぜなら、3D空間に浮いているデータは、反ったり欠けたりしないからだ。(触ることすらできない)
粉まみれにならなくてもできる、分業されたスマートなデザインもいいけど、一から手で作る不器用なもの作りもまた刺激的だ。なにより、きれいに作れると楽しい!
なんとかして、両者をうまいこと融合させられないかな。


そういえば最近、でっかいバンドソーを買った。こいつのおかげでかなりできることが広がった。今なら椅子とかも作れそうだ。