工業デザインの練習帳

1988年生まれの工業デザイナー秋山慶太のブログです。

人ではない、人とコミュニケーションできるモノ(もののけデザイン1)

「人ではない、人とコミュニケーションできるモノ」がマイブームだ。とても面白いし、自分ができるかどうかはさておき、デザインしがいのあるテーマだと思う。

 

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人ならざるモノ

例えばそれはドラえもんポケモン初音ミクのようなキャラクターであったり、siri、ロボホンやユカイ工学のboccoのようなプロダクトであったりする。

人間そのものではないけれど、人間の言葉や心情を理解してコミュニケーションをとることができる、不思議なモノたち。その存在は多様で、時に可愛らしく時に恐ろしい。

彼らはフィクションとノンフィクションの境界に存在し、人間の想像力を動かして自分たちをデザインさせることで現実世界にアクセスする。言葉や行動で人間にはたらきかけ、生活を豊かにしたり混乱させたりする。妖怪や精霊と言われてきたものに近いような気もするし、少し違うようにも思う。

 

現在、人間の生活にはこのような存在が製品やサービスとして広く浸透しているわけではないけれど、先に挙げたsiriのような実例も存在する。そして、人工知能やロボティクスが急激に発展すると言われているこれから、そのようなモノはどんどん増え、発展していくだろう。人間は、「人間以外のモノ」との付き合い方を覚える必要があるし、またそれをデザインする機会を無数に与えられることになる。


マーク・ザッカーバーグによる人工知能 Jarvisの動画 こいつはかなり「人間ぽい」

 

 

まだ生まれていない、けれど想像されている

こうした「人ならざるモノ」は、先ほど書いた通り、まだプロダクトとしては開発の途上にあるようだ。しかし未来のユーザーである僕らは、その話を聞いただけで、あるいはプレゼンのビデオを見ただけで、「ふむふむ…なんとなく言いたいことは分かる…」と納得できる。なぜだろう?

それは、他の多くの技術と同じように、あらかじめ想像されたものだからだと僕は思う。人はドラえもんを作ることはまだ出来ないが、想像することはできるということだ。人間じゃないものとコミュニケーションすること、それらと一緒の生活を想像することは、太古の昔から行われてきたに違いない。世界中にある精霊や妖怪の伝説、おとぎ話は、人がそれを想像して形づくってきたという意味で、「人ならざるモノ」のデザインの試行と言えるかもしれない。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3f/Hyakki-Yagyo-Emaki_Tsukumogami_1.jpg

妖怪百鬼夜行絵巻(wikipediaより)👹

 

最近見たものの中では、Twitterで拡散されていた「はるさめごはん」さんのポケモン漫画に、「ポケモンとの共存」が描かれていて面白い。彼らが実生活のなかに現れたときの人間の変化や心の機微が柔らかいタッチで繊細に描写されており、興味深く、可愛くて心に残っている。ゲンガーかわいい…

 

 

 

 

幽霊ではなく、動物でもないなにか

今まで回りくどく「人ならざるモノ」なんて言い方をしてきたけれど、他によい言葉はないだろうか。妖怪、おばけ、モンスター、鬼… いろいろ表現はあるけど、個人的にはいまひとつしっくりこない。「物の怪」みたいな感じかなあ。どうだろう。

人間の幽霊や人っぽい神さま、それからペットというのも、人間に近い人ならざるモノではあるのだけれど、イメージしているものとはちょっと違う。「人間そっくり」の存在とコミュニケーションするマナーは対人間のそれとかなり似ているだろうし、動物とのコミュニケーションはめちゃくちゃ高度にはなりづらい。(動物好きの方、すみません)

 

www.goodspress.jp

 

このインタビューで触れられているみたいな、「コダマ的なもの」「現代の座敷童」というコンセプトが、そもそも僕がこうしたモノに興味をもったきっかけだ。親しみやすく、応用の可能性が広がるすばらしいアイデアだと思う。もしできることなら、これを起点にして、少しでも新しいものごとを考えさせていただきたいです。

 

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そんなわけで、「物の怪」についてもうちょっと考えてみたい。(なんと続きます!)

考えつつ書きたいなと思っているのは以下のようなことだ。

 

・日本の八百万的神さま/妖怪観とものづくりの関係(スプツニ子さん、市原えつこさんの作品をみる)

・人が物の怪に恋するがごとく感情移入することについて(初音ミク、UNDERTALE)

・人の想像力を使ってものを「リッチでスマートにみせかける」

・可愛らしさの分析と実装

 

今年のsaidoでの作品に向けて、これらの考えをベースにものをつくるところまでいけたら良いな。こんな本読んだら良いよとか、面白い資料がありましたら教えて頂けると嬉しいです。がんばるぞ!